
最近よく聞く質問です。
特に、マンションを売却しようとしている人に多い疑問になります。
その反面、不動産投資を経験している人からすると、「空室リスクがあるから、サクッと売却してしまった方がいい」と判断する人も。
そもそも、売却がいいか、賃貸がいいかは、物件の立地やスペックによって大きく異なります。
そこで気になるのが、「売却と賃貸を同時進行で行えるのか」です。
売却と賃貸を同時進行するとき、じつは大きな落とし穴があるんです。
この記事では、
- 売却と賃貸どちらがいいか悩んでいる
- 売却と賃貸を同時進行で行えるのか
- 同時進行で行えた場合、メリットとデメリットは?
- 同時進行で行った場合の大きな落とし穴とは?
といった点を元業界人の渡邊麻衣子(わたなべまいこ)が解説していきます。

通常は、売却と賃貸を同時に進めることは少ないです。
ですがデメリットさえ知っておけば、失敗せずに売却と賃貸を同時進行できますよ。
不動産の売却と賃貸は同時進行できる!
まず、結論から言うと、売却と賃貸は同時に進めることができます。
確かに売却と賃貸を同時に進めるメリットはありますが、デメリットとなる注意点もあるのです。
売却と賃貸を同時に進めるデメリットを理解しておけば、失敗せずに進められます。
それではまずは、売却と賃貸を同時に進めるメリットについてみていきましょう。
売却と賃貸を同時進行するメリット
- 早めに成約する確率が高くなる
- 購入と賃貸との金額を天秤にかけて比較しやすい
売却と賃貸を同時に進行すれば、“購入希望者”と“賃貸希望者”の両方が集まりますから、
また、“購入希望者”と“賃貸希望者”の両者とリアルな金額交渉をしていけば、金銭面での将来設計もより具体的になり、売却と賃貸とを比較しやすくなる点はメリットです。
売却と賃貸を同時進行するデメリット
- 内覧頻度が増えて、大変になる
- 不動産会社のモチベーション維持が困難
さきほど同時に進めるメリットのところでもお話ししましたが、集客数が多くなるメリットがある反面、内覧頻度が増えて、その対応に追われるデメリットがあります。
担当者に任せきりにすることもできますが、元業界人である私の経験上、今まで住んでいた売り主が内覧会に同席するかしないかは成約に大きく影響します。
できれば売り主には同席してほしいところですが、手いっぱいになって体調を崩してしまっては元も子もないので、内覧会の進め方については担当者と話し合っておいた方がよいでしょう。
そして、売却と賃貸を同時進行する最大のデメリットが“不動産会社のモチベーション維持が困難”という点です。
なぜなら、業者側の悲痛の叫びを代弁すると、
- 他社で成約されてしまうと報酬は“ゼロ”になる
- リスク回避のために集客に対する費用をかけにくくなる
- 賃貸よりも売却の方が報酬は大きいため、賃貸に力を入れにくい
といった裏事情があるのです。
売却でも賃貸でも、不動産会社は仲介手数料のみが報酬になります。
「集客に費用をかけたのに、他社で成約されてしまった」となると、会社としてはマイナス経理となってしまい、ぶっちゃけた話、上司からも非難を浴びるのです。
さらに、賃貸と売却とで報酬額に雲泥の差があります。
たとえば、売却すれば3,000万円の価値がある物件を扱った場合、不動産会社の報酬額は売却と賃貸とで以下のように異なるのです。
- 売却
→最大206万円(両手取引) - 賃貸
→10万~15万円(1ヵ月分)
売却の方が賃貸よりもかなり大きな報酬となるため、賃貸よりも売却の方に力を注ぐため、公平な扱いにはならないのです。
不動産売却と賃貸の同時進行を成功させるポイント
媒介契約には、
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専属専任媒介契約
の3種類がありますが、売却と賃貸を同時進行する場合、不動産会社との付き合い方として、
- 一般媒介契約(他社との複合契約可)
- 専任媒介契約と専属専任媒介契約(他社との複合契約困難)
の2種類に大別できます
媒介契約に関して詳しく知りたい方は、過去に書いた以下の記事を参考にしてください。
媒介契約の種類は3つあり、「どれが一番いいのか」悩みますよね。そこで今回は元業界人がケース別で考える媒介契約の種類の選び方をお伝えしていきます。
それでは、それぞれの媒介契約でどう対応を変えていくのか、みていきましょう。
一般媒介契約の場合
- 他社と賃貸の一般媒介契約を結べる
- 道義的に他社と契約していることは伝えた方がいい
一般的に、売却と賃貸の同時進行を取り扱ってくれる不動産業者はほぼいません。
そこで、売却と賃貸を同時進行するためには複数社と媒介契約を結ぶ必要が出てきます。
そして、複数社との媒介契約が唯一許されているのが一般媒介契約なのです。
したがって、一般媒介契約であれば、問題なく他社と賃貸の媒介契約を結べます。
ただし、注意点として、他社と賃貸の一般媒介契約を結んでいる事実は担当者に伝えておいた方がよいでしょう。
「売却と賃貸」という一見異なるモノにも捉えられますが、不動産会社であれば、売却と賃貸の両方の物件情報は毎日の日課のように確認しています。
他社と媒介契約を結んでいることを伝えずにいると、担当者が事後発見してしまうリスクがあるのです。
そんな不測の事態を回避するためにも、ご自身の考えや行動していることは担当者に伝えておくべきでしょう。
専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約の場合
売却と賃貸とを同時進行するときの大きな落とし穴がここに当たります。
専任媒介契約もしくは専属専任媒介契約で売却と賃貸を同時進行する場合がもっとも注意が必要なのです。
なぜなら、基本的には重ねて不動産会社に依頼してはいけないからです。
しかし、このルールはあくまでも「不動産売買」に関して重ねて不動産会社に依頼してはいけないだけであって、“売却”と“賃貸”という別物の契約に関しては、明確な禁止事項等の取り決めは今のところありません。
とはいえ、不動産会社によっては“契約は当社一社としかダメ”というところも・・・。
不動産会社側からしたら、“売却”と“賃貸”を同時進行で進められて他社で成約してしまうと、報酬はゼロになるため、あまりいい顔はされないんです。
「“売却”と“賃貸”の同時進行を隠しておけばいいだろう」と思うかもしれませんが、道義的にお勧めできないだけでなく、発覚してからトラブルに巻き込まれる可能性もあります。
“売却”と“賃貸”の同時進行を隠ぺいしたことによる判例はないため、裁判で争ってどんな判決になるかはわからない状況です。
大きなトラブルに巻き込まれないためにも、別の不動産会社に重ねて媒介契約を結ばない方が得策といえます。
どうしても他社に賃貸の仲介を依頼したいときは、売買の媒介契約が期限切れになったときに乗り換えるのがよいでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
「売却と賃貸を同時進行したい」という方は、メリットとデメリットを把握してから勧めるとよいでしょう。
- 早めに成約する確率が高くなる
- 購入と賃貸との金額を天秤にかけて比較しやすい
- 内覧頻度が増えて、大変になる
- 不動産会社のモチベーション維持が困難
また、売却と賃貸を同時進行する場合は一般媒介契約を結び、契約会社にもその旨を伝えておきましょう。
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